「焦点距離◯mm」と書かれているけど、結局それって何?
カメラ初心者がレンズ選びで最初に戸惑うポイントのひとつが、「焦点距離(しょうてんきょり)」です。レンズ名やスペックに必ず記載されていますが、具体的にどういう意味があって、写真にどんな影響を与えるのかは意外と知られていません。
この記事では、焦点距離とは何か?という基礎から、画角・ボケ感・遠近感との関係、そしてどんな焦点距離がどんな写真に向いているのかまで、初心者でも理解できるよう丁寧に解説します。
焦点距離とは?
焦点距離とは、レンズの中心(主点)からセンサー(イメージセンサー)までの距離のことをミリメートル(mm)で表したものです。
たとえば、「50mm」のレンズなら、レンズからセンサーまでの距離が50mmということになります。
ポイント:
- 焦点距離が短い(例:16mm、24mm) → 広い範囲が写る(広角)
- 焦点距離が長い(例:85mm、200mm) → 遠くを大きく写せる(望遠)
つまり、焦点距離は「どのくらいの範囲を写せるか(=画角)」と密接に関係しています。
画角とは?
画角(がかく)とは、レンズが1枚の写真に写し込める範囲の広さを指します。数値が小さい(広角)ほど広く写せて、数値が大きい(望遠)ほど狭く・遠くを大きく写せます。
画角の例(フルサイズ換算)
- 16mm:超広角。大きな建物・風景・星空などに最適
- 24mm:広角。旅行やスナップ撮影に使いやすい
- 35mm:準広角。自然な見え方で日常写真に最適
- 50mm:標準。人の目に近い画角、ポートレートにも◎
- 85mm:中望遠。背景がボケやすく、ポートレート向き
- 200mm〜:望遠。運動会・野鳥・スポーツなどに
焦点距離とボケの関係
焦点距離が長くなるほど、背景が大きくボケやすくなります。特に人物撮影では中望遠(85mm〜135mm)が重宝されるのはそのためです。
また、同じF値(明るさ)でも、焦点距離が長い方が被写界深度が浅くなり、より立体感のある写真が撮れます。
焦点距離と遠近感の関係
焦点距離によって遠近感(パースペクティブ)の出方も変わります。
- 広角:手前のものが大きく、奥が小さく写り、遠近感が強調される
- 望遠:背景が圧縮されて、被写体との距離感が近くなる
例えば、広角で人を撮ると脚が長く見えることもありますし、望遠で背景を大きく見せたい時(山や桜など)にも便利です。
APS-C・マイクロフォーサーズの場合の換算
焦点距離は、センサーサイズによって見え方が変わります。
多くの初心者向けカメラは「APS-C」や「マイクロフォーサーズ」といったフルサイズより小さいセンサーを搭載しているため、「換算焦点距離」を理解しておくことが大切です。
換算の目安:
- APS-C(Sony、Canonなど): ×1.5倍(Canonは×1.6倍)
- マイクロフォーサーズ(Olympus、Panasonic): ×2倍
例)APS-Cで35mmのレンズ → 実質 約52.5mm相当(標準画角)
用途別・おすすめ焦点距離の選び方
シーン | おすすめ焦点距離(フルサイズ換算) | 理由 |
---|---|---|
旅行・スナップ | 24〜35mm | 広すぎず狭すぎず、風景も人物も自然に写せる |
ポートレート | 50〜85mm | 歪みが出にくく、背景ボケもきれい |
料理・物撮り | 35〜50mm | 自然な視点で撮影できる |
運動会・スポーツ | 200mm〜 | 被写体まで距離があるので望遠が必要 |
風景・建築 | 16〜24mm | 広角で広がりを出せる |
初心者におすすめの焦点距離は?
最初の1本としては、ズームレンズの「標準域」(例:18-55mm)がおすすめです。焦点距離ごとの違いを実際に撮って体験しやすいため、自分の好みも見えてきます。
また、「単焦点レンズを1本持ちたい」という場合は、35mm(APS-Cなら24mm)がおすすめ。日常でも使いやすく、背景もほどよくボケる万能焦点距離です。
まとめ:焦点距離を理解すると写真が変わる
焦点距離は、画角や構図、被写体との距離、背景のボケ感など、写真の「見え方」を大きく左右する重要な要素です。
最初は数値だけではピンとこないかもしれませんが、実際に撮り比べることで「どの距離感が自分にとって気持ちいいのか」がわかってきます。
ShutterSparkでは、これからも初心者が「なんとなく」ではなく「納得して」写真を楽しめるような情報を発信していきます。ぜひ、焦点距離を意識しながら撮影を楽しんでみてくださいね!